日本口腔インプラント学会誌
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調査・統計・資料
北海道地区の(公社)日本口腔インプラント学会専門医・指導医に対する上顎インプラント治療における合併症と診療設備に関するアンケート調査
森下 長和田 義行松沢 祐介上林 毅板橋 基雅長 太一前田 大輔吉村 治範
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2020 年 33 巻 2 号 p. 213-221

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抄録

目的:歯科インプラント治療は,その高い予知性から欠損補綴の有効な手段として確立されている.しかし,インプラント治療の普及に伴い合併症の問題が広がってきている.特に,上顎インプラント治療の合併症は上顎骨の特異的な性状や解剖学的形態により深刻となることがある.一方,近年の診断機器の進歩や普及などが合併症の減少に寄与するとの期待がある.本研究では,合併症の現状や治療技術,設備の普及状況を明らかにするためにアンケート調査を行った.

対象と方法:(公社)日本口腔インプラント学会専門医・指導医51名に,2012年4月1日から2015年3月末日までの3年間を対象とした「上顎インプラント治療における合併症と診療設備に関するアンケート調査」を行った.

結果:上顎洞炎は指導医では57%,専門医では36%であった.上顎洞底粘膜の穿孔は指導医では57%,専門医では33%であった.術前にCT検査を行う指導医・専門医は93%であった.シミュレーションソフトによる診断を行う指導医・専門医は79%であった.ガイデッドサージェリーを行う指導医・専門医は49%であった.

考察・結論:上顎インプラント治療の合併症は上顎洞と関連するものが多く経験されていた.デジタル設備の導入は急速に進行してきていると考えられた.デジタル診断機器の進歩や普及は合併症の発症を減少させる可能性が予想されたが,上顎インプラント治療の合併症は依然高い確率で指導医・専門医に経験されていた.

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© 2020 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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