日本口腔インプラント学会誌
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原著(基礎研究)
単独歯欠損における各種口腔内スキャナーの位置再現性に関するシリコーン印象材との比較検討
村上 高宏熱田 亙岩本 麻也菅野 岳志伊藤 準之助村上 修一田中 譲治
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2022 年 35 巻 1 号 p. 9-15

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抄録

現在,多くのメーカーが独自に口腔内スキャナーの開発を行っているが,それらのインプラント位置再現性についてはいまだ不明な点が多い.そこで本研究では,上顎左側中切歯欠損症例を想定した顎模型を用いて,各種口腔内スキャナーを用いた光学印象法と従来のシリコーン印象法でインプラント位置再現性の比較検討を三次元解析ソフトにて行った.

上顎石膏模型の21相当部にインプラント体を埋入し,マスターモデルを製作した.マスターモデルにスキャンボディを装着し,高精度スキャナーを用いて,マスターモデルの基本データを取得した.その後,通法のオープントレー法を用い,マスターモデルの作業模型を製作し,スキャンボディを装着した後で,高精度スキャナーを用いてデータを取得した(IMP).次に,各種口腔内スキャナー(Primescan:PRS,Trios3:TR3,Trios4:TR4,iTero element 5D:IT5)を用いて光学印象を行い,それぞれマスターモデルのデータを5回取得した.取得したデータは三次元解析ソフトにインポートし,基本データとIMP,PRS,TR3,TR4,IT5それぞれを重ね合わせ,比較検討した.統計処理の結果,PRS,TR3,TR4,IT5の間で適合率の統計学的な有意差を認めなかったが,PRS,TR3,TR4,IT5とIMPの間では有意差を認めた.各種口腔内スキャナーのインプラント位置再現性の比較検討を行った結果,口腔内スキャナーを用いた光学印象法は,シリコーン印象法よりも高いインプラント位置再現性を示した.

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© 2022 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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