2023 年 36 巻 2 号 p. 83-88
咀嚼機能回復の一方法としてインプラント治療はすでに国民に定着している.しかし,一定の割合で治療後にインプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎といった併発症が発症する.本疾患について2017年に新たな分類が公表され,疾患の実態が正確に把握できるようになった.新たな分類を正確に理解し,疾患の実態を把握し,これを基に発症のリスク因子や予防法,治療方法についてのエビデンスを確立することが今後求められる.高齢者がますます増加する我が国において,治療を受けた施設でメインテナンスや併発症の治療を受けられない患者への対応も想定しなければならない.今後さらにエビデンスを構築したうえで,患者へ正しい対応を行う規格作りが必要になってきているのではないか.そのために,インプラント周囲疾患の分類,リスク因子,治療法について現時点で何が明らかとなっているのかをまとめ,さらには今後解決しなければならない課題について考えた.