日本口腔インプラント学会誌
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原著(基礎研究)
コラーゲントリペプチド経口投与の歯肉炎への影響
山本 祥子佐藤 潤直野 公一松本 陽沼田 徳暁酒井 康夫木本 一成古澤 利武
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2024 年 37 巻 3 号 p. 236-244

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抄録

目的:本研究では,Gly-X-Y 配列のトリペプチドを高含有し,腸管吸収に優れる素材であるコラーゲントリペプチド(CTP)の,ビーグル犬のバイオフィルム関連歯肉炎における毛細血管係蹄ならびに歯肉組織への影響について検討した.

方法:8 頭のビーグル犬(雌,32.1±0.6 月齢)の上顎両側前歯・犬歯および下顎両側犬歯(計6 歯)にデンタルフロスを結紮後,8 週間にわたって毎日軟食を投与しバイオフィルム関連歯肉炎を惹起させた.その後,ランダムに2 群に分け,実験群には固形飼料とCTP 錠剤を,対照群には固形飼料のみを与えて8 週間通常飼育した.CTP 投与前と実験終了時に辺縁歯肉上皮の毛細血管係蹄形態をマイクロスコープにて観察した.さらに実験終了時に歯肉組織を採取し病理組織標本を作製し,HE 染色ならびにEM 染色にて観察した.

結果:HE 染色標本では,対照群,実験群とも多くの白血球の浸潤を認め,炎症状態にあることが示唆された.毛細血管係蹄の形態スコアは実験群でのみ有意に改善し,さらにEM 染色標本にて実験群における毛細血管の充血の解消が認められたことから,血流が改善したことが示唆された.また,実験群の実験コラーゲン線維面積比は対照群に対し有意に増加し,外縁上皮の角化も正常化した.

結論:CTPの経口摂取が健常な歯肉の維持を助ける作用があることが示唆された.

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