日本口腔インプラント学会誌
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特集 インプラントの咬合を再考する
可撤性インプラント上部構造に付与する咬合とその経年変化を考える
和田 誠大
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2024 年 37 巻 3 号 p. 229-235

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抄録

可撤性インプラント上部構造(以下,インプラントオーバーデンチャー)は,固定性インプラント上部構造と比較して,埋入するインプラント本数が少ない,高い清掃性,硬軟組織の造成処置の回避とこれに伴う身体的負担や経済的負担を軽減できる,といった利点を有する.加えて,これまでのインプラントオーバーデンチャーに関する報告にあるように,従来の可撤性義歯の維持安定性の向上や患者満足度の向上のみならず,咀嚼能率や最大咬合力をはじめとした,さまざまな口腔機能の向上が期待できることから,特に口腔機能の向上を求められる高齢患者にとって,有用な治療選択肢の一つと考えられる.一方で,上部構造となる可撤性義歯に付与すべき咬合関係やその経年変化については,あまり報告されていない.現時点で明確なコンセンサスは得られていないが,本総説では,インプラントオーバーデンチャーに付与すべき咬合関係について解説するとともに,その咬合関係の経年変化とその対策について紹介したい.

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