日本口腔インプラント学会誌
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原著(臨床研究)
インプラント体埋入手術の手術時間に影響を与える因子の検討
北川 剛至網野 雄太玉木 大之中薹 麻美山本 貴雅村守 樹理内田 貴之村上 洋
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2025 年 38 巻 1 号 p. 13-22

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抄録

目的:インプラント体埋入手術における手術時間に影響を与える因子を明らかにすることを目的とし,各種項目について比較検討を行った.

方法:2013年4月から2024年3月までの11年間の,日本大学松戸歯学部付属病院口腔インプラント診療科におけるインプラント体埋入手術を対象とした.調査項目は,手術時間,執刀医,埋入本数,埋入部位(上下顎,左右側,歯種),インプラントシステム,麻酔方法,併用した骨造成処置,ガイデッドサージェリー,即時埋入,同時に施術した関連手術の10項目とし,手術室の使用記録および診療録を基に集計した.手術時間は局所麻酔終了後,執刀開始を開始時間,縫合終了を終了時間として分単位で計測した.統計解析は手術時間を目的変数とし,その他の項目を説明変数とした重回帰分析を行った.なお統計学的有意水準は0.01とし,統計解析にはRを使用した.

結果:調査期間内に実施されたインプラント体埋入手術は2,841件,患者数2,043名,総埋入本数5,006本であった.手術時間の平均は61.4分,中央値55分,最短13分,最長261分であった.

結論:重回帰分析の結果,回帰式を用いて手術時間の予測が可能となった.そして,インプラント体埋入手術の手術時間に強く影響を与える説明変数は,埋入本数と骨造成処置であった.また,執刀医が初期に所属した診療科は,インプラント体埋入手術の手術時間に影響を与える可能性が示唆された.

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