日本口腔インプラント学会誌
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原著(基礎研究)
アバットメントの接合様式および傾斜角度がカラー部のひずみに及ぼす影響
植松 厚夫武市 完平岩田 雅裕伊藤 賢小笹 友生奈藤森 啓米田 隆紀伊藤 充雄
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2025 年 38 巻 1 号 p. 23-32

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抄録

目的:本研究ではアバットメントとインプラント体の接合様式,アバットメントの形状および傾斜角度がカラー部のひずみに及ぼす影響について明らかにすることを目的に検討を行った.

材料および方法:セメント合着用アバットメント(TP),スクリュー固定のインターナル・テーパージョイントの上部構造との接触面がストレート型のアバットメント(IA),5°のテーパー付きアバットメント(IB)の各インプラントを,JIS 4種チタンを用い同様の寸法に製作した.ひずみの測定はカラー部の先端にひずみゲージを貼り付け,傾斜角度10°,20°,30°の治具に固定し,万能試験機を用い,50Nから700Nまで行った.たわみ量は記録紙から読み取りを行った.その後,CTを用い観察を行った.各測定値は一元配置分散分析後,Tukeyの多重比較を行った(危険率:5%).

結果:傾斜10°では,TP,IA,IBのひずみ量は最大で約0.1%であり,有意差は認められなかった.傾斜20°のひずみは,400NからIBが最も小さな値を示し,TPとIBの間に有意差(p=0.046)が認められ,傾斜30°ではIBがTPとIAよりも大きな値を示し,有意差(p<0.001)が認められた.たわみ量は傾斜30°が最も大きな測定値であった.アバットメントとカラーの隙間の観察において,傾斜20°ではIAとIBに,傾斜30°ではすべてにおいて隙間が認められた.

結論:接合様式,傾斜角度およびアバットメントの形状はひずみ量,たわみ量と隙間の形成に影響することが明らかとなった.

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