2025 年 38 巻 1 号 p. 33-42
本研究では,三次元解析ソフトを用いて,4機種の口腔内スキャナーのインプラント位置再現性を比較した.また,3通りのスキャニング順序についても比較検討を行い,スキャニングの順序がインプラント位置再現性に与える影響についても検討を行った.
下顎右側遊離端欠損模型の47,45相当部にインプラント体を2本埋入し,マスターモデルを製作した.その後,マスターモデルにスキャンボディを装着し,基本データの取得を行った.次に4機種の口腔内スキャナー,Element 5D (iTero),Lumina (iTero), Primescan (Dentsply Sirona),IS 3800W (Envista Holdings Corporation) を用いて,マスターモデルの光学印象を行い,①47相当部からスキャニングした場合,②31相当部からスキャニングした場合,③37相当部からスキャニングした場合でそれぞれデータを取得した.その後,基本データと各スキャナーのデータを三次元解析ソフト上で重ね合わせ,スキャンボディの一致率の算出および統計処理を行った.その結果,すべてのスキャニング順序において,Luminaが最も高い一致率を示したが,①47相当部からスキャニングした場合のElement 5DとLuminaおよびLuminaとIS 3800W,②31相当部からスキャニングした場合のLuminaとPrimescanでは差を認めなかった.
以上より,Luminaはいずれのスキャニング順序において最も高いインプラント位置再現性を示したが,スキャニング順序を変化させることで,Element 5D,Primescan,IS 3800WはLuminaに匹敵する一致率を示した.