日本口腔インプラント学会誌
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特集 インプラント治療における周術期管理と併発症対策
はじめに
小林 恒小松 晋一
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2026 年 39 巻 1 号 p. 14

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抄録

インプラント治療は外科的侵襲を伴う治療であり,骨造成を併用する症例や広範囲にわたるインプラント体の埋入を行う場合には,その侵襲はさらに大きくなる.超高齢社会を迎えた本邦においては,インプラント治療を希望する患者が多様な全身疾患を有していることも少なくない.局所的には,下顎骨内には下歯槽神経が走行し,上顎には上顎洞が存在するなど,解剖学的制約を受ける.近年ではCTを用いた術前シミュレーションの普及により,安全性の向上が図られている.しかしながら,狭小な口腔内において局所麻酔下で行われる治療であることから,さまざまな併発症が生じうる.具体的には,術後感染による治療期間の延長やインプラント体の喪失,解剖学的要因に起因する神経損傷,全身既往に伴う治療制限,出血や異物迷入などが挙げられ,外科的治療であるがゆえの併発症が少なくない.本企画は,2024年11月2日(土)に開催されたシンポジウム「インプラント治療における周術期管理と併発症対策」における発表内容を,総説論文としてまとめたものである.本総説では,インプラント治療,特にインプラント体埋入に関連する併発症および全身疾患への対応について,次の3項目に分けて概説を依頼した.すなわち,①「インプラント治療における神経損傷の診断と治療」,②「インプラント治療における高血圧症患者の周術期管理と併発症対策」,③「インプラント治療時の口腔外科的併発症への対応」である.最初の総説では,インプラント埋入による神経損傷については,術前に解剖学的特徴を十分に考慮し損傷を予防することの重要性はもちろんであるが,神経障害が生じた場合の適切な対応もきわめて重要であり,その点についても解説していただいた.次の総説では,高齢者において罹患率の高い基礎疾患として高血圧症があり,その病態および対応方法についても詳述していただいた.最後の総説では,口腔外科的併発症への対応について解説している.なお,本シンポジウムの開催から1年以上が経過しており,その間に新たな知見が報告されている可能性がある.そのため,最新の情報を提供する観点から,実際の講演内容と一部異なる記載が含まれる場合があることをご了承いただきたい.

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