日本口腔インプラント学会誌
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特集 インプラント治療における周術期管理と併発症対策
口腔外科医からみたインプラント治療の注意点
小林 恒久保田 耕世
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2026 年 39 巻 1 号 p. 32-38

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抄録

インプラント体の埋入は侵襲を伴う外科的治療であり,骨造成を伴う広範囲な埋入手術では,侵襲の程度も大きくなり,術式に関連したさまざまな合併症が生じる可能性がある.本総説では,感染予防としての適切な抗菌薬の投与に加え,口腔外科医が対応すべきインプラント関連の合併症のうち,上顎洞への迷入への対処法および,頻度は少ないもののインプラント周囲に発生する歯肉癌について述べる.

最新の手引きでは,インプラント治療においてSSI予防のための抗菌薬投与は推奨されていない.しかし実際には,歯科領域では抜歯を含む多くの処置において感染予防の目的で抗菌薬が過剰に投与されており,適正な運用がなされていない現状がある.

また,インプラント体埋入に関連する合併症の一つに,インプラント体の上顎洞への迷入がある.埋入された異物は自然排出を期待すべきではなく,早期に摘出することで,その後のさらなる合併症の予防につながる.

近年では,インプラント周囲に発生する歯肉癌の症例も増加傾向にある.インプラントの適応を検討する際には,口腔癌の既往歴,喫煙・飲酒の習慣,白板症や扁平苔癬などの粘膜病変が存在する部位では,インプラント関連の歯肉癌が発生するリスクがあることを十分に認識しておく必要がある.

本稿では,著者が経験した症例を供覧しながら,これらの注意点について解説する.

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