本研究の目的は,6本のインプラント体を埋入した無歯顎下顎模型を用いて,ワイヤレスおよび有線口腔内スキャナーのインプラント位置再現性を評価し,シリコーン印象法を用いて製作した作業模型と比較検討することである.
下顎無歯顎石膏模型にインプラント体を埋入し,マスターモデルを製作した.スキャンボディをインプラント体に装着し,歯科用デスクトップスキャナーを用いてマスターデータを取得した.ワイヤレス口腔内スキャナーはPrimescan 2 とTrios 5,有線口腔内スキャナーはPrimescan を用い,マスターモデルのスキャニングを行い,それぞれデータを取得した(n=10).
次に,シリコーン印象材を用いてマスターモデルの作業模型を製作し,データを取得した(シリコーン印象法,n=10).その後,3D 解析ソフトウェアを用いて,マスターデータと各口腔内スキャナー,シリコーン印象法のデータの重ね合わせを行い,スキャンボディの許容誤差範囲が50 μm 以内を一致しているとし,一致率の算出と比較検討を行った.その結果,Primescan 2(82.3%)とTrios 5(63.6%),Primescan(68.2%)では有意差を認めたが,各口腔内スキャナーとシリコーン印象法(69.7%)では差を認めなかった.カラーマッピングにおいて,Primescan 2 のスキャンボディは変位が少なかったのに対し,Trios 5,Primescan,シリコーン印象法では大きな変位を認めた.
以上より,Primescan 2 はTrios 5,Primescan よりも高いインプラント位置再現性を示し,各口腔内スキャナーはいずれもシリコーン印象法と同等であった.