抄録
近年では,下顎欠損の即時再建にいくつかの骨皮弁が適応されているが,その皮弁は咀嚼粘膜としては厚かったり過大であったりするため,義歯などを装用するためには何らかの外科的侵襲を必要とする。
われわれは,粘膜上皮再建を伴わない下顎再建法―Bare Bone Graft―(頭頸部腫瘍 29(1):104-110,2003)を考案し下顎欠損に適応してきた。1997年から2008年までに下顎欠損の即時再建として適応としたものは25例で,2例の骨弁全壊死,1例の部分壊死を認め,22例で生着を得た。22例全例で追加の外科的侵襲無く術後数週後には咀嚼粘膜が獲得された。19例では一般的な床義歯の使用が可能であった。義歯装着に至るまでの時間は術後7日から72日で,平均38日であった。平均義歯使用期間は57.5日間で10日間から103日間であった。この期間中に確認された問題点として,義歯性潰瘍,再建骨吸収による骨接合プレート露出,反応性角化病変の出現が認められた。