日本口腔腫瘍学会誌
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22 巻, 4 号
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第28回日本口腔腫瘍学会学術大会
シンポジウム2:「下顎再建」
  • 戸塚 靖則, 又賀 泉
    2010 年 22 巻 4 号 p. 115
    発行日: 2010/12/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
  • 大岩 伊知郎, 藤原 成祥, 佐藤 春樹, 阿部 友亮, 橋本 健吾, 深野 英夫, 下郷 和雄
    2010 年 22 巻 4 号 p. 116-121
    発行日: 2010/12/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    近年では,下顎欠損の即時再建にいくつかの骨皮弁が適応されているが,その皮弁は咀嚼粘膜としては厚かったり過大であったりするため,義歯などを装用するためには何らかの外科的侵襲を必要とする。
    われわれは,粘膜上皮再建を伴わない下顎再建法―Bare Bone Graft―(頭頸部腫瘍 29(1):104-110,2003)を考案し下顎欠損に適応してきた。1997年から2008年までに下顎欠損の即時再建として適応としたものは25例で,2例の骨弁全壊死,1例の部分壊死を認め,22例で生着を得た。22例全例で追加の外科的侵襲無く術後数週後には咀嚼粘膜が獲得された。19例では一般的な床義歯の使用が可能であった。義歯装着に至るまでの時間は術後7日から72日で,平均38日であった。平均義歯使用期間は57.5日間で10日間から103日間であった。この期間中に確認された問題点として,義歯性潰瘍,再建骨吸収による骨接合プレート露出,反応性角化病変の出現が認められた。
  • 島本 裕彰, 小村 健
    2010 年 22 巻 4 号 p. 122-127
    発行日: 2010/12/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    下顎区域切除,半側切除においては,術後の顔貌の変形や口腔機能の低下が大きな問題となるが,それらを解消するために,下顎再建が必要となる。下顎再建には様々な再建方法があるが,当分野では血管柄つき肩甲骨皮弁を多く用いている。2001年4月から2009年11月までに肩甲骨皮弁にて再建を行った76名77例を対象に検討した。下顎切除に至った原疾患は悪性腫瘍55例,良性腫瘍18例,下顎骨放射線性骨髄炎4例の合計77例であった。CAT分類による下顎骨欠損分類では「A」が最も多く26例(33.8%),次いで「AT」が20例(26.0%)であった。下顎骨の形態を付与するために42例(54.5%)に骨切りを行った。軟組織欠損は粘膜のみが最も多く,67例(87.0%)であった。肩甲骨弁は広背筋皮弁を併用するなど広範囲な軟組織欠損にも対応することが可能であった。また,術中に下顎骨位を再現することにより,術後も良好な口腔機能を維持することに役立った。よって,肩甲骨皮弁は下顎再建において有効な再建方法であると考えられる。
  • 岩井 聡一, 中澤 光博, 墨 哲郎, 加藤 逸郎, 竹内 憲民, 青田 桂子
    2010 年 22 巻 4 号 p. 128-133
    発行日: 2010/12/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    下顎骨区域切除症例に対して,当科においても,下顎欠損域に対する再建の自由度,軟組織欠損に対する皮弁の血行の安定性,ドナーサイトの手術侵襲の少なさなどから血管柄付腓骨(皮弁)を多く用いるようになった。しかしながら弯曲部を含む骨欠損に対する適切な形態の再現,上顎歯槽部と対合関係の再現等を迅速に行うことは困難であった。これらの問題点を解決するために,新しい腓骨皮弁再建システムを導入したのでその結果を報告する。このシステムを導入することによって,弯曲部を含む骨欠損に対する適切な形態の再現,上顎歯槽部との対合関係の再現,骨接合部での死腔の解消が可能となり,手術時間が大幅に短縮できるなど,多くの点について有用な結果が得られた。今後,正確化,単純化,低コスト化などを実現し,より良いシステムを構築していくことを考えている。
  • ―血管柄付遊離骨移植と遊離軟部組織移植の比較―
    中川 雅裕, 永松 将吾, 茅野 修史, 小泉 拓也, 松井 貴浩, 桂木 容子, 大田 洋二郎, 百合草 健圭志, 赤根 光宣, 永井 康 ...
    2010 年 22 巻 4 号 p. 134-137
    発行日: 2010/12/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    下顎骨区域切除や亜全摘後の再建は血管柄付遊離骨移植が第一選択である。しかし,患者の危険因子,病期,切除範囲などを考慮し,金属プレートと遊離皮弁移植や遊離皮弁単独(軟部組織皮弁)により再建を行うこともある。対象は2002年9月から2008年12月までに下顎骨区域切除/亜全摘後に即時遊離組織移植を行った47例である。骨再建群26例(遊離腓骨皮弁22例,遊離肩甲骨+広背筋皮弁4例),軟部再建群16例(遊離腹直筋皮弁13例,遊離前外側大腿皮弁3例),プレート群5例(金属プレート+遊離腹直筋皮弁5例)であった。創感染,瘻孔などの合併症は骨再建群で38%,軟部再建群で44%,プレート再建群で80%であった。常食摂取可能であったのは骨再建群で19例(83%),軟部再建群は10例(63%),プレート再建群では0例 (0%) であった。下顎骨切除後に軟部組織皮弁のみを移植する再建法は,高齢者,病期進展例などに対して有用な選択肢の一つになりうると考えられた。
  • ―腓骨皮弁,肩甲骨皮弁,腸骨皮弁の使い分けについて―
    牧野 修治郎, 北田 秀昭, 高野 昌士, 榊原 典幸, 野谷 健一, 北川 善政, 戸塚 靖則
    2010 年 22 巻 4 号 p. 138-144
    発行日: 2010/12/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    血管柄付き骨移植による下顎再建を行った74例(腓骨:44例,肩甲骨:23例,腸骨:7例)について検討した。治療疾患は悪性腫瘍(術後を含む):42例,放射線性骨壊死:13例,良性腫瘍:15例,その他4例であった。即時再建は35例で,二次再建が39例であった。生着成績は腓骨88.6%,肩甲骨・腸骨は100%であった。骨の欠損範囲をみると,腸骨はCAT分類でA,bodyに限定すればすぐれた移植骨である。肩甲骨はCAT分類の多くをカバーし,腓骨はさらに広範な欠損に対応可能であった。腓骨,肩甲骨の使い分けは,欠損範囲のみでなく,癌治療の考え方,骨皮弁の習熟度に依存すると思われた。
  • 森 良之, 高戸 毅
    2010 年 22 巻 4 号 p. 145-148
    発行日: 2010/12/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    口腔腫瘍切除後に生じた口腔内組織の拘縮に対し,骨延長術を用いて,上下顎の歯列弓の適合を得るための再建顎の二次的延長や下顎骨再建のためのスペース確保を目的とした軟部組織の拡大などが行われている。これにより,再建下顎へのデンタルインプラントを利用した義歯装着が可能となり,機能的回復が得られるようになった。
症例
  • 佐藤 祐介, 太田 嘉英, 倉林 宏考, 佐々木 剛史, 伊澤 和三, 山崎 浩史
    2010 年 22 巻 4 号 p. 149-155
    発行日: 2010/12/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,頸動脈間隙の高位に発生した頸部迷走神経鞘腫の1例を報告する。症例は,71歳,女性。咽頭部違和感を主訴として来院した。口腔内所見として,左口蓋咽頭弓に約50×60mm大,無痛性腫瘤を認めた。腫瘤は,CTおよびMRにて左頸動脈間隙を占拠していた。また,腫瘤は総頸動脈および内頸静脈を解離させ,頭蓋底まで及んでいた。われわれは,subcutaneous mandibulotomy approachを用いて切除し得た。病理組織学的診断は,神経鞘腫であった。術後,嚥下障害および嗄声を認めたが,リハビリテーションを行い,経口摂取可能な状態まで改善した。術後,約2年経過した現在,再発は認めていない。
  • 光永 幸代, 光藤 健司, 岩井 俊憲, 矢島 康治, 柴崎 麻衣子, 大屋 貴志, 大原 良仁, 廣田 誠, 藤内 祝
    2010 年 22 巻 4 号 p. 157-163
    発行日: 2010/12/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    われわれは温熱療法を併用した逆行性超選択的動注化学放射線療法が著効した上顎歯肉癌N3の1例を経験したので報告する。
    左側頸部の腫脹を主訴に39歳の男性が当科を受診した。その腫瘤は65×55mmであった。画像診断と病理診断によって腫瘍は上顎歯肉癌・頸部リンパ節転移(T2N3M0)と診断された。患者は温熱療法を併用した浅側頭動脈と後頭動脈よりの超選択的動注化学放射線療法を受けた。シスプラチンの総投与量は150mg/m2であり,ドセタキセルの総投与量は60mg/m2であった。外照射は2Gy/回で週に5回行い,計60Gy施行した。温熱療法は6週間で5回行った。
    治療終了1か月後の病理診断では原発巣はCRであったが,転移リンパ節に対する臨床的効果はPRと考えられたため,患者は両側頸部郭清術と軟組織再建を受けた。しかし,摘出されたリンパ節の病理組織診断はCRであった。術後20か月経過するが,再発・転移なく経過良好である。本法は頸部リンパ節転移N3症例に対する効果的な治療法の一つになりうると思われた。
  • 小林 恒, 中川 祥, 久保田 耕世, 佐藤 寿, 木村 博人
    2010 年 22 巻 4 号 p. 165-172
    発行日: 2010/12/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    口腔癌の治療において頸部郭清術後の頸部再発は非常に重要な問題である。根治的頸部郭清術後に生じる頸部再発の頻度は約10%とされ,その予後は著しく不良である。頸部再発例に対しては外科的切除が最も効果的な治療法であるが,level II領域での頸部再発は解剖学的理由により切除不能であることが多い。一方,近年,選択的動注化学放射線治療(SIACRT)が進行頭頸部癌の治療に適用されるようになってきたが,転移リンパ節にも有効であるという報告もある。今回われわれは,頸部郭清術後に頸部再発を来たした口腔癌の2症例に対し,ドセタキセル―ネダプラチンを用いたSIACRTを実施し,良好な結果が得られたので報告する。
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