日本口腔腫瘍学会誌
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シンポジウム2:「下顎再建」
当科における血管柄つき肩甲骨皮弁による下顎再建
島本 裕彰小村 健
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2010 年 22 巻 4 号 p. 122-127

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抄録
下顎区域切除,半側切除においては,術後の顔貌の変形や口腔機能の低下が大きな問題となるが,それらを解消するために,下顎再建が必要となる。下顎再建には様々な再建方法があるが,当分野では血管柄つき肩甲骨皮弁を多く用いている。2001年4月から2009年11月までに肩甲骨皮弁にて再建を行った76名77例を対象に検討した。下顎切除に至った原疾患は悪性腫瘍55例,良性腫瘍18例,下顎骨放射線性骨髄炎4例の合計77例であった。CAT分類による下顎骨欠損分類では「A」が最も多く26例(33.8%),次いで「AT」が20例(26.0%)であった。下顎骨の形態を付与するために42例(54.5%)に骨切りを行った。軟組織欠損は粘膜のみが最も多く,67例(87.0%)であった。肩甲骨弁は広背筋皮弁を併用するなど広範囲な軟組織欠損にも対応することが可能であった。また,術中に下顎骨位を再現することにより,術後も良好な口腔機能を維持することに役立った。よって,肩甲骨皮弁は下顎再建において有効な再建方法であると考えられる。
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© 2010 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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