日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
Print ISSN : 0915-5988
ISSN-L : 0915-5988
シンポジウム2:「下顎再建」
下顎骨再建
―血管柄付遊離骨移植と遊離軟部組織移植の比較―
中川 雅裕永松 将吾茅野 修史小泉 拓也松井 貴浩桂木 容子大田 洋二郎百合草 健圭志赤根 光宣永井 康一吉川 和人
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 22 巻 4 号 p. 134-137

詳細
抄録

下顎骨区域切除や亜全摘後の再建は血管柄付遊離骨移植が第一選択である。しかし,患者の危険因子,病期,切除範囲などを考慮し,金属プレートと遊離皮弁移植や遊離皮弁単独(軟部組織皮弁)により再建を行うこともある。対象は2002年9月から2008年12月までに下顎骨区域切除/亜全摘後に即時遊離組織移植を行った47例である。骨再建群26例(遊離腓骨皮弁22例,遊離肩甲骨+広背筋皮弁4例),軟部再建群16例(遊離腹直筋皮弁13例,遊離前外側大腿皮弁3例),プレート群5例(金属プレート+遊離腹直筋皮弁5例)であった。創感染,瘻孔などの合併症は骨再建群で38%,軟部再建群で44%,プレート再建群で80%であった。常食摂取可能であったのは骨再建群で19例(83%),軟部再建群は10例(63%),プレート再建群では0例 (0%) であった。下顎骨切除後に軟部組織皮弁のみを移植する再建法は,高齢者,病期進展例などに対して有用な選択肢の一つになりうると考えられた。

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top