抄録
血管柄付き骨移植による下顎再建を行った74例(腓骨:44例,肩甲骨:23例,腸骨:7例)について検討した。治療疾患は悪性腫瘍(術後を含む):42例,放射線性骨壊死:13例,良性腫瘍:15例,その他4例であった。即時再建は35例で,二次再建が39例であった。生着成績は腓骨88.6%,肩甲骨・腸骨は100%であった。骨の欠損範囲をみると,腸骨はCAT分類でA,bodyに限定すればすぐれた移植骨である。肩甲骨はCAT分類の多くをカバーし,腓骨はさらに広範な欠損に対応可能であった。腓骨,肩甲骨の使い分けは,欠損範囲のみでなく,癌治療の考え方,骨皮弁の習熟度に依存すると思われた。