抄録
頸部郭清術後に生じる難治性リンパ漏はまれではあるものの,ひとたび生じると体液組成異常をはじめ電解質異常や栄養障害,免疫障害を引き起こし,患者の入院期間を延長させる重篤な合併症である。今回われわれは,下顎歯肉癌患者の頸部郭清術後に難治性頸部リンパ漏を生じ,胸腔鏡下胸管結紮術にて制御した症例を経験したので,その概要を若干の文献的考察を加え報告する。
患者は左側下顎歯肉の疼痛を訴えて来院した80歳の女性。左側下顎歯肉癌の診断で,下顎骨区域切除,左側機能的頸部郭清術,チタンプレートと大胸筋皮弁による即時再建術を施行した。術後3日目にドレーン排液量が突如2000mlを超えたため,保存療法および再開創によるリンパ管結紮を行ったが効果なく,術後20日目に胸腔鏡下胸管結紮術を施行した。その後リンパ漏は認めず,軽快退院した。