日本口腔腫瘍学会誌
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シンポジウム2:「早期口腔癌に対する新たな診断法の確立」
細胞診による口腔がんの早期診断(総説)
石橋 浩晃秀島 克巳関根 浄治
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2013 年 25 巻 3 号 p. 54-71

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抄録
口腔がんの治療・予後においては,早期発見による早期治療が極めて重要であり,がんの早期発見・早期治療の開始は,口腔外科医・歯科医師が取り組むべき,患者の生命予後に強く影響する極めて重要な課題である。しかし,口腔がんの大半をしめる口腔扁平上皮癌の早期症例を,臨床像が類似する前癌病変・前癌状態などの口腔粘膜疾患と肉眼所見により鑑別することに関しては,熟練した口腔外科医でも判断に迷うことが少なくない。そこで,日常の臨床に一般的に応用されている有効で精密な診断確定法として,組織検査(生検)が広く認知・汎用されている。しかし,すでに組織検査を繰り返している症例や,悪性の可能性が低いと推測される症例,あるいは患者の全身疾患によっては,組織検査の適応・応用の判断が困難になることがある。著者らは,口腔扁平上皮癌,あるいは口腔粘膜疾患の早期の診断確定の一助として,口腔細胞診(擦過細胞診)を積極的に応用している。さらに口腔細胞診は,治療開始前の新鮮症例における早期診断だけでなく,術後に長期の経過観察を継続している症例にも容易に応用できる。口腔細胞診は細胞所見から収集できる情報が多い一方で,細胞採取などに関する侵襲が極めて少ない安全な検査と思われる。
また,著者らは地域歯科医師会と連携して,歯科医院における口腔細胞診を用いた口腔粘膜疾患・口腔がん検査システムを構築している。今回,本システムによる口腔がんの早期発見症例について紹介するとともに,本システムの運用に関する現状と精度を検証したので報告する。さらに,口腔がん検診の診断精度の向上にも口腔細胞診を応用しており,その概要をあわせて報告する。
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© 2013 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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