抄録
1995年から2012年に,腹直筋皮弁により顎口腔再建を行った147例について検討した。再建部位では下顎:39例,上顎:33例,舌:35例,口底:19例,頰粘膜:16例,軟口蓋:5例であった。生着率は98%(144/147)で,4例に腹壁ヘルニアを認めたが,手術を行った症例は無かった。腹直筋皮弁は信頼性のある皮弁で,大きい欠損に適しており,多くの利点を有している。メタルプレートを用いた下顎再建では筋体を充填に用いる事が有用である一方,小さい欠損では皮下脂肪,筋体量を減らす必要がある。この採取する筋体量を調整することで,多くの部位の再建が可能となる。