日本口腔腫瘍学会誌
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25 巻 , 4 号
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第31回日本口腔腫瘍学会・学術大会
シンポジウム1:「軟組織再建 —患者のQOL向上を目指して—」
  • 田中 一郎, 山城 正司
    2013 年 25 巻 4 号 p. 141
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/01/30
    ジャーナル フリー
  • 山下 善弘, 大関 悟, 橋本 憲一郎, 三輪 邦弘, 山本 哲彰, 野上 晋之介, 山内 健介, 高橋 哲
    2013 年 25 巻 4 号 p. 142-150
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/01/30
    ジャーナル フリー
    近年,マイクロサージェリーを用いた遊離組織移植が頭頸部領域に用いられている。しかしながら全身的合併症や移植床血管の問題などを認める症例では遊離組織移植より有茎皮弁による再建の方が安全で,より有用性が認められることがある。今回われわれは口腔癌切除後の大胸筋皮弁(pectoralis major musculocutaneous flap;PMMC flap),胸三角筋部皮弁(deltopectoral flap;D-P flap),頸部島状皮弁(cervical island skin flap;CIS flap)における有茎皮弁を用いた再建例についてその有用性について検討した。口腔癌切除後の組織欠損に対して有茎皮弁を用いて再建した症例は45症例であり,その内訳はPMMC flap;25例,D-P flap;9例,CIS flap;13例であった。また,その内の2例においてはPMMC flapとD-P flapの2皮弁による再建が行われていた。
    皮弁完全生着率ではPMMC flapが96%であり,その他の皮弁は全て完全生着した。再建に要した手術時間を確認できた症例では,PMMC flap(n=11)とD-P flap(n=6)がそれぞれ3.1±0.7時間と2.6±1.1時間であり,また,CIS flapの挙上時間はだいたい20から30分であった。最も多かった術後の合併症は縫合不全による瘻孔であったが全ての症例では洗浄により治癒した。
    有茎皮弁は口腔癌切除後の再建において有用な選択枝のひとつであると考えられた。
  • 鵜澤 成一, 鈴木 美保, 中久木 康一, 道 泰之, 山城 正司, 原田 清
    2013 年 25 巻 4 号 p. 151-159
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/01/30
    ジャーナル フリー
    前腕皮弁は薄くしなやかな皮弁であり,長い血管柄を有するため頭頸部再建に多用されている皮弁の1つである。当科では,1987年から頭頸部領域の欠損に対し,遊離皮弁を用いた再建手術を行っている。2012年9月までにおいて395例に対し,401皮弁の移植手術を行ってきた。皮弁の内訳は,前腕皮弁193例,腹直筋皮弁155例,肩甲骨複合皮弁42例,腓骨皮弁8例,前外側大腿皮弁2例,広背筋皮弁1例であり,前腕皮弁が最も多く用いられていた。前腕皮弁を用いた再建手術の適応としては,おおむね半側までの舌口底欠損,頰粘膜,中咽頭欠損などであり,さまざまな頭頸部領域の欠損に用いることが可能であった。前腕皮弁移植における生着率は99%(191例/193例)であったが,口腔内の創部哆開などの合併症は39例(20.1%)に生じており,また,皮弁採取部の合併症は27例(13.9%)に生じていた。
    今回の概説では,当科における前腕皮弁の採取法,適応,再建時の工夫などについて概説し,さらに,今後の課題について述べてゆく。
  • 林 信, 上田 倫弘, 山下 徹郎, 矢島 和宜
    2013 年 25 巻 4 号 p. 160-165
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/01/30
    ジャーナル フリー
    前外側大腿皮弁(Anterolateral Thigh Flap:ALT)は穿通枝皮弁で,比較的薄くしなやかで口腔再建術に適した皮弁である。組織量は前腕皮弁と腹直筋皮弁のほぼ中間であり,ALTの選択肢を持つことにより患者の体格,欠損量に適合した的確な再建が可能となる。皮弁採取創は一期的縫縮が可能で,比較的露出されない部位であるため,整容的にも認容される。穿通枝皮弁であるため皮弁挙上には技術を要するが,血管のバリエーションを含めた解剖の熟知,3D-CTAやカラードップラーなどの術前検査,拡大視による挙上,などにより安全・確実な挙上は可能である。口腔再建に際し選択肢の1つとして備えておく必要のある皮弁であると考える。
  • 牧野 修治郎, 高野 昌士, 北田 秀昭, 山下 知巳, 榊原 典幸, 野谷 健一, 北川 善政, 鄭 漢忠
    2013 年 25 巻 4 号 p. 166-173
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/01/30
    ジャーナル フリー
    1995年から2012年に,腹直筋皮弁により顎口腔再建を行った147例について検討した。再建部位では下顎:39例,上顎:33例,舌:35例,口底:19例,頰粘膜:16例,軟口蓋:5例であった。生着率は98%(144/147)で,4例に腹壁ヘルニアを認めたが,手術を行った症例は無かった。腹直筋皮弁は信頼性のある皮弁で,大きい欠損に適しており,多くの利点を有している。メタルプレートを用いた下顎再建では筋体を充填に用いる事が有用である一方,小さい欠損では皮下脂肪,筋体量を減らす必要がある。この採取する筋体量を調整することで,多くの部位の再建が可能となる。
  • 田中 一郎
    2013 年 25 巻 4 号 p. 174-184
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/01/30
    ジャーナル フリー
    広背筋皮弁を胸背動静脈を血管茎とする皮弁としてひとまとめに考え,皮弁のvariation,特徴,頭頸部癌切除後再建での適応,皮弁挙上手技上の要点や問題点,皮弁採取部を含めた合併症と対策などにつき,実際の再建症例を呈示して論述した。
  • 去川 俊二, 大谷津 幸生, 野口 忠秀, 西野 宏, 菅原 康志
    2013 年 25 巻 4 号 p. 185-190
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/01/30
    ジャーナル フリー
    遊離皮弁を用いた口腔悪性腫瘍切除後即時再建患者26例のワシントン大学QOL評価を行った先行研究の結果,悪化したまま改善しないものは,「嚥下」,「会話」,「肩」,「味」であった。さらに,41例で「肩」項目のみ評価したところ,頸部廓清の際に胸鎖乳突筋が切除された群が温存された群よりも優位にQOLが低下していた。この結果に基づき,胸鎖乳突筋が切除された6例に対して胸鎖乳突筋動的再建術を施行した。
    移植組織としては,遊離腹直筋皮弁を用いた。6例の原発部位は舌が5例,頰粘膜が1例で,全例術後に放射線治療を行った。筋弁は適度な緊張を与えて胸鎖乳突筋切除断端に縫合固定し,神経刺激で移植筋に最も良好な運動刺激があることを確認した1本の肋間神経を,副神経の断端に端々吻合した。全6例が評価できた術後6か月ではQOLの「肩」の値は,切除された群と比較して改善は見られなかった。原因としては,移植筋が十分に機能しなかったこと,もしくは,そもそも胸鎖乳突筋自体が肩機能において重要な因子ではないことが考えられる。
症例報告
  • 平岡 慎一郎, 伊藤 章, 森本 泰成, 大倉 正也, 古郷 幹彦, 北村 龍二
    2013 年 25 巻 4 号 p. 191-198
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/01/30
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,上顎歯肉に初発症状を認めた肺原発上顎歯肉転移癌を経験したためその治療経過の概要に文献的考察を加えて報告する。患者は80歳男性,初診時右側上顎歯肉に,直径18mm弾性軟の腫瘤を認めた。生検の結果,大細胞癌と診断された。歯肉原発の可能性が低く,全身精査を実施したところ,左側上肺野,胃,脳に腫瘍性病変を認め,肺原発多発転移癌の診断を得た。上顎歯肉転移癌は生検後急速に増大したため,S-1を併用した同時化学放射線療法を実施し,照射量合計38.4Gyで終了した。これらの放射線治療によって上顎歯肉転移癌の縮小を認めた。治療後,脳梗塞を発症し死の転帰となったが,死の直前まで腫瘍の増大もなく,経口摂取の継続が可能であった。根治治療の適応がない肺原発歯肉転移癌に対する,姑息的同時化学放射線療法は,患者のQOL維持に有効な治療法の1つであると思われた。
  • 猪俣 徹, 中右 かよ, 岡本 秀平, 岡村 尚, 荘司 洋文, 桂野 美貴, 八木原 一博, 石井 純一, 青葉 孝昭, 岡部 貞夫, ...
    2013 年 25 巻 4 号 p. 199-205
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/01/30
    ジャーナル フリー
    T1・T2外向型舌癌は,5年無病生存率が比較的高く,良好な予後が期待できると考えられている。われわれは原発巣切除後,短期間に頸部リンパ節転移と肝転移を生じたStage I外向型舌癌の症例を経験したので報告する。患者は79歳男性で,左側舌縁部の疼痛を主訴に来院した。左側舌縁後方部に19×19×7mm大の外向性腫瘤を認め,Stage I舌癌の臨床診断に基づき舌部分切除術を施行した。病理組織学的診断は,WHO Grade 2,YK-4Cの扁平上皮癌であった。術後3か月に後発頸部リンパ節転移を認めたため根治的頸部郭清術変法を施行したが,5か月後に頸部再発・肝転移を生じ,全経過13か月で患者は死亡した。本症例の病理組織学的悪性度指標としては,原発巣の組織所見では,癌胞巣と宿主組織との境界は比較的明瞭であったが,癌巣内部においてリンパ管侵襲が認められた。免疫組織化学的な悪性度指標としては,癌細胞のE-cadherin減弱とp53陽性核が認められた。癌巣内部の間質には,拡張したリンパ管腔像と腫瘍塞栓がみられ,αSMA/S100A4陽性を示す筋線維芽細胞の増生が顕著であった。舌癌の予後判定において,癌細胞の組織学的な悪性度指標のほかに,筋線維芽細胞などの腫瘍間質や宿主間質の性状についても検討の必要性を示唆する症例と考えられた。
  • 大竹 史浩, 田村 隆行, 谷尾 和彦
    2013 年 25 巻 4 号 p. 207-212
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/01/30
    ジャーナル フリー
    多形腺腫由来癌(carcinoma ex pleomorphic adenoma)は,長期間生体内に放置された多形腺腫や再発を繰り返した多形腺腫に発生しやすいとされている。
    今回われわれは,頰部に発生した多形腺腫由来癌の1例を報告する。
    患者は60歳女性,右側頰部の無痛性腫脹を主訴に当科を受診した。右側頰部に60×50mmの弾性硬,可動性を有する無痛性腫瘤を認めた。MR画像では右側頰部に境界明瞭で,T1強調像で中等度,T2強調像で中等度~高度の信号強度を呈した腫瘤を認めた。経口的アプローチにて腫瘍切除術を施行した際,一部腫瘍実質の露出を認めた。切除した腫瘍は低分化型腺癌NOS (not otherwise specified)を癌腫成分とする多形腺腫由来癌との診断であった。術後補助化学放射線療法を行い,現在術後2年2か月が経過し,腫瘍の再発や転移は認めていない。
  • 佐藤 春樹, 髙木 雄基, 野田 晴菜, 長縄 陵亮, 佐久間 英規, 大岩 伊知郎
    2013 年 25 巻 4 号 p. 213-219
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は92歳の男性。2010年12月に左側下顎第二小臼歯部の腐骨様の硬組織を除去した約1か月後に,同部位に強い自発痛と骨壊死を生じた。術創を含め約30mm径の骨壊死を認めたため,悪性腫瘍を考慮して生検を行った。病理組織学的に炎症性肉芽組織の診断であったため,下顎骨骨髄炎として感染の制御と疼痛管理を行ったが,骨壊死は徐々に進行した。
    2011年5月には左側上内頸静脈リンパ節の急激な腫脹を生じ,骨壊死の急速な拡大と共に舌,口底および頰粘膜に壊死が進展したため,再度の生検を行った。病理組織学的には,小リンパ球や形質細胞,組織球などの多彩な反応性背景を認め,病変内に広範な壊死巣を伴っていた。またReed-Sternberg細胞様大型細胞が散在性に出現しており,腫瘍細胞が血管壁に浸潤して塞栓を生じている部分も認められた。腫瘍細胞はCD20,CD30およびin situ hybridization法でEBER陽性であったことから,加齢性EBV陽性びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の診断を得た。
    高齢であり慢性心不全の既往があることから化学療法の適応外とし,症状緩和を主体として対応していたが,同年8月に死亡した。
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