日本口腔腫瘍学会誌
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臨床統計
舌扁平上皮癌N0症例の治療成績と頸部後発転移についての検討
山川 延宏山中 康嗣今井 裕一郎青木 久美子桐田 忠昭
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2013 年 26 巻 1 号 p. 17-24

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抄録
手術後の頸部後発転移は治療成績に影響する因子の一つである。われわれは,舌扁平上皮癌N0症例における治療成績と頸部後発転移に関与する因子の検討を行った。対象は1991年1月から2006年12月までの16年間に当科にて経験した舌扁平上皮癌一次症例178例のうち,初診時に頸部リンパ節転移を認めず原発巣の手術療法のみを施行した65例であり,平均年齢は60.6歳であった。10年累積生存率は84.6%であった。原発巣再発率は10年で16.7%であった。さらに,原発巣が制御できていた58例につき頸部後発転移に関する検討を行った。後発転移は15例に認められ,臨床型では内向型の後発転移率が他の臨床型と比較して高かった。YK分類別の後発転移率は,YK4Cが42.9%,YK4Dが48.1%であった。後発転移症例では,リンパ管侵襲が53.3%に認められた。原発巣が内向型,YK-4,リンパ管侵襲は後発転移の危険因子となることが示唆された。
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© 2014 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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