日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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総説
Lumen apposing metal stentの現況と展望
土屋 貴愛 殿塚 亮祐向井 俊太郎糸井 隆夫
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2018 年 60 巻 3 号 p. 203-214

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抄録

Lumen apposing metal stent(LAMS)は,離れた2つの管腔を2つの大きな張り出し(flange)でしっかりと把持し,引き寄せ瘻孔を形成するためのfull-covered typeの金属ステントであり様々な内視鏡治療に用いられている.LAMSはWONに代表されるような膵周囲液体貯留の超音波内視鏡下経消化管的ドレナージ術の有用性,安全性が数多く報告されており,大口径であるためステント内腔に上部消化管内視鏡を挿入することが可能であり,WONに対するネクロセクトミーにも威力を発揮する.さらに,超音波内視鏡下胆管十二指腸吻合術,超音波内視鏡下胆嚢ドレナージ術に対しても用いられ,胆嚢ドレナージ後に胆石を除去したという治療法の報告も散見される.また,新たな試みとして悪性胃十二指腸狭窄に対する治療として,LAMSを用いた超音波内視鏡下胃空腸吻合術も近年開発された.長期予後やコストなど,今後の検討が必要な課題もあるが,新規治療の可能性を秘めたデバイスであると言える.

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© 2018 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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