日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
悪性リンパ腫の第二癌としてみられた下顎歯肉癌の2例
土井 理恵子小谷 勇木谷 憲典田村 隆行岡本 秀治岡本 充浩吉田 優奈良井 節領家 和男
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2014 年 26 巻 3 号 p. 113-121

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抄録

社会の高齢化や検査技術の進歩により,重複癌の症例が増加傾向にあることが報告されている。
口腔癌における重複癌の発生部位は消化管,特に食道と胃に多いとされ,悪性リンパ腫(以下ML)との重複はまれである。今回われわれは,MLの第二癌として下顎の扁平上皮癌(以下SCC)を発症した異時性重複癌の2例を経験したのでその概要について報告する。いずれも病変は侵襲性を示し病態の進行が急速であった。
症例1は62歳男性で,口腔のSCCを発症する前に慢性リンパ性白血病/小細胞リンパ腫(以下CLL/SLL)を発症していた。化学放射線療法後に手術を施行したが,腫瘍は術後2か月で再発した。
症例2は83歳男性で,加齢性Epstein-Barr Virus(以下EBV)陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(以下DLBCL)の加療中に口腔のSCCを発症した。加齢性EBV陽性DLBCLの治療を中止しSCCの手術を行った。術後に加齢性EBV陽性DLBCLの病勢が悪化したためエトポシドを再開した。口腔SCCの再発はみられていない。
第二癌としての口腔SCCは侵襲性が高く,これにはMLや化学療法による長期間の免疫機能抑制の影響があるものと思われた。

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© 2014 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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