抄録
症例は初診時年齢59歳男性,右側口底扁平上皮癌(T2N0M0)の診断にて,下顎辺縁切除を伴う口底部分切除術を施行した。術後40か月目に右側頸部リンパ節に後発転移を認め,FDG-PETで同リンパ節とともに両側肺尖部に異常集積があり,肺転移を疑った。癌化学療法にて頸部と肺病巣ともに一度は縮小とSUVmaxの低下を認めたが,その後頸部リンパ節のみ再増大し,肺病巣はSUVmax低下を示した。頸部郭清術を施行した後,肺病変は非結核性抗酸菌症であることが判明した。初回口底癌治療から7年6か月,頸部郭清術から3年7か月経過し,再発・転移を認めず,経過良好である。
肺非結核性抗酸菌症は近年増加傾向にあり,肺転移や肺原発腫瘍に類似した画像を呈するため注意が必要である。