抄録
切除不能の進行・再発口腔癌に対する治療法の選択肢は少なく,これに対する治療法の開発は重要である。上皮成長因子受容体に対する分子標的治療薬であるセツキシマブは著明な治療効果が期待できる反面,モノクローナル抗体投与に伴う薬剤投与中および投与数時間後にInfusion reaction(IR)の発現の可能性が報告されており,適切な対応が重要である。また,薬剤性肺障害の発症も報告されており,その投与に際しては注意が必要である。われわれは切除不能な進行・再発口腔癌の11例に対して本薬剤を投与しGrade 3以上の重篤なIRがみられた2例と本薬剤との関連が疑われた薬剤性肺障害の1例を経験した。IRおよび間質性肺炎の危険因子保有症例の場合は,セツキシマブ投与前に慎重な検討が必要であると思われた。