日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
下顎骨に発生した骨未分化高悪性度多形肉腫の1例
山田 朋弘北村 直也笹部 衣里山本 哲也
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2014 年 26 巻 4 号 p. 193-198

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抄録

骨未分化高悪性度多形肉腫は多形性を有し,特定の組織への分化を示さない高悪性度の肉腫である。今回われわれは,下顎骨に発生した未分化高悪性度多形肉腫の1例を経験したので報告する。患者は66歳の女性で,右側オトガイ部の知覚異常を主訴に来科した。右側頰部に2cm大の弾性軟の腫瘤を触知した。パノラマX線写真にて右側下顎埋伏智歯歯冠周囲のX線透過像が認められ,CT画像では右側下顎枝前縁に位置し造影性を有する径2cmの腫瘤性病変と虫食い状骨吸収を認め,MR画像ではT1強調画像にて下顎枝の骨髄信号の低下を認めた。生検にて肉腫と診断されたため,下顎半側切除術,頸部郭清術および大胸筋皮弁による再建術を施行した。切除物の最終病理組織診断は骨未分化高悪性度多形肉腫であった。現在,術後1年2か月が経過したが,腫瘍の再発や転移は認めていない。

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© 2014 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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