日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
陰圧閉鎖療法により治療した頸部郭清術後リンパ漏の2例
見立 英史川野 真太郎松原 良太橋口 有真金子 直樹坂本 泰基中村 誠司
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2016 年 28 巻 3 号 p. 155-160

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抄録
今回われわれは,頸部郭清術後にリンパ漏を認め,陰圧閉鎖療法(NPWT)を行って治癒し得た2症例を経験したので報告する。【症例1】71歳,男性。左側頬粘膜扁平上皮癌(T2N2bM0)に対し,術前放射線化学療法後,根治的頸部郭清術(RND),上顎部分切除術,頬粘膜部分切除術,下顎区域切除術,前外側大腿皮弁とチタンプレートによる再建術を施行。術後より,鎖骨上窩にリンパ液貯留を認めていた。術後12日目,左側頸部の出血を認めたため,止血処置およびリンパ漏出部位の結紮を行った。しかし,術後もリンパ液貯留が継続したため,再手術から3日後にNPWTを開始した。開始1週間でリンパ漏は消退した。【症例2】64歳,男性。左側舌扁平上皮癌術後に頸部リンパ節後発転移を認め,RNDを施行。術後15日目に鎖骨上窩にリンパ液貯留を認め,症例1と同様にNPWTを開始した。徐々にリンパ漏は消失し,NPWTは26日間で終了した。NPWTは頸部郭清術後リンパ漏に対し,有用な治療法の1つになり得ると考えられた。
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© 2016 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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