口腔癌からの頸部リンパ節転移の画像診断における初診時の画像診断手順および超音波診断基準 (Bモードおよびドプラモード) やそれらの診断能について報告した。Bモードにおける転移リンパ節と非転移リンパ節との鑑別のための診断基準は,(1) 強い内部エコーが認められる場合は転移リンパ節を疑う。(2) hilar echoesの存在は非転移リンパ節である。(3) 長短経比が3.5以上であれば非転移リンパ節である。転移リンパ節を診断する敏感度は66%と高くないが陽性的中度は97%と高かった。
ドプラモードにおける転移リンパ節の診断基準は,(1) リンパ節内部に圧排された血管像があれば転移リンパ節を疑う。(2) リンパ節内部に散在性の血流像があれば転移リンパ節を疑う。(3) リンパ節辺縁に沿って走行する血管像があれば転移リンパ節を疑う。(4) 門部から樹枝状に走行する血流像があれば非転移リンパ節である。
ドプラモードとBモードを併用した場合の敏感度は84.1%であり,Bモード単独での診断より有意に高かった。しかしながら,診断能はリンパ節のサイズに大きく左右される。そこで,転移リンパ節サイズの変化に伴うリンパ節内の血流量の変化に着目した。小さな転移リンパ節はサイズの増大に伴い血流量が増大し,さらにサイズが増大すると血管像は散在性を呈する。
経過観察時における頸部リンパ節の画像検査は超音波検査が中心となる。適切な超音波検査間隔は術後1年目においては1か月に1度であると考える。また,原発巣の超音波ドプラ所見は腫瘍活性を表すので,腫瘍の病理組織学的悪性度や頸部リンパ節転移出現の予測因子である。
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