2016 年 28 巻 3 号 p. 161-168
N3リンパ節転移(レベルII)を伴う口腔癌2症例に対して超選択的動注化学放射線治療を行った。治療は66Gyの外照射とともにドセタキセル(40mg/m2)とネダプラチン(80mg/m2)を大腿動脈経由に3回から4回の動注化学療法を行った。すべての症例で抗癌剤の局所濃度を高めるために不要な血管を閉塞させる血流改変術を行った後に外頸動脈より動注した。その結果,全ての症例で原発巣とともに転移リンパ節も消失し,頸部郭清術は施行されなかった。経過中に原発巣・頸部リンパ節の再発は認めなかったが,1例において全身多発転移が生じ,化学療法を行うも制御できずに死亡した。超選択的動注化学放射線治療は原発巣のみならずN3リンパ節転移に対しても有効な治療であると考えられた。