日本口腔腫瘍学会誌
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シンポジウム6:「エナメル上皮腫診療ガイドライン」
エナメル上皮腫の画像診断に関して(総説)
箕輪 和行岡田 和樹
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2016 年 28 巻 4 号 p. 256-263

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抄録

エナメル上皮腫は一般的に顎骨内に発生するため,視診,触診による評価は難しく,画像診断の役割は大きい。
エナメル上皮腫の診療ガイドラインにおいてエナメル上皮腫の診断に有用な画像検査は,検討の結果,口内法エックス線撮影,パノラマエックス線撮影,CTおよびMRIの全てとなったが,各診断モダリティーの特性を活かした診断を行うことが重要となる。
エナメル上皮腫との鑑別が画像上,特に必要な疾患は,頻度を考慮し,角化囊胞性歯原性腫瘍,含歯性囊胞,歯根囊胞となった。
エナメル上皮腫の画像所見と予後に関する報告は少ないが,単房性のエナメル上皮腫に比べ多房性のエナメル上皮腫の再発率が高いとの報告がみられ,また,良性エナメル上皮腫から悪性転化が存在する場合は予後不良であった。
転移性(悪性)エナメル上皮腫は,臨床的に転移を呈するが,良性のエナメル上皮腫と同様の画像所見を示した。エナメル上皮癌は,境界不明瞭,骨破壊および周囲組織への浸潤など悪性を示唆する画像所見を呈した。

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© 2016 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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