日本口腔腫瘍学会誌
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原著
口腔扁平上皮癌患者におけるImaging biomarkerとしてのFDG PET/CTの有用性
森川 貴迪太尾 英子別所 央城藥師寺 孝野村 武史小野寺 晋志内野 福生髙野 伸夫柴原 孝彦
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2017 年 29 巻 2 号 p. 23-35

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抄録

口腔癌に関する予後因子について検討が行われている。18F-Fluorodeoxyglucose Positron emission tomography (18F-FDG PET)は糖代謝による細胞活性に注目した検査であり,質的評価が可能である。18F-FDG PETはすでに病期診断に用いられている。本研究では,予後と18F-FDG PET/CTによる腫瘍代謝因子との関連性について評価しImaging biomarkerとしての有用性について明らかにすることを目的とした。
2009年1月から2015年12月までの6年間に当科で加療を行った口腔扁平上皮癌患者でPET/Computed Tomography (CT) を施行した154例を対象とした。PET撮像前に治療歴のある症例は除外した。
性差は男性89例,女性65例。平均年齢62.6歳であった。原発部位は舌が最も多く,StageはⅢ・Ⅳ期の進行期が過半数であった。中央観察期間は45.6か月であった。
PET/CTによる腫瘍代謝因子では,原発腫瘍のSUVmaxは平均9.8,SUVmeanは平均5.9,代謝腫瘍体積(Metabolic tumor volume : MTV)は平均4126,総腫瘍代謝量(Total legion glycolysis : TLG)は平均28809,腫瘍代謝比(SUVmax volume ratio : SVR)は平均4.9であった。Receiver Operating Characteristic curve (ROC)解析の結果,SUVmax,SUVmean,MTV,TLG, SVRは12.0,6.7,3000,16000,4.8と設定した。Uptake patternにおいてはSphere shaped typeが128例,Ring shaped typeが26例であった。
全体の3yDFS(Disease free survival rate)は80.2%,3yOS(Overall survival rate)は87.2%であった。予後についての単変量解析では,DFSでT因子,Stage,術後再発高危険症例,SUVmax,SUVmean,MTV,TLG,Uptake patternが有意な因子であった。またOSでは,病理組織学的分化度,T因子,Stage,術後再発高危険症例,SUVmax,SUVmean,MTV,TLG,Uptake patternが有意な因子であった。さらに多変量解析では,SUVmaxならびにUptake patternはDFS,OSともに独立した有意な因子であった。
PETはImaging biomarkerとして有用であった。

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