抄録
外側咽頭後リンパ節(ルビエールリンパ節:RLN)は咽頭癌でしばしば転移がみられるが,口腔癌,特に舌癌では極めて稀とされている。セツキシマブ併用放射線療法(bioradiotherapy:BRT)が有用であった舌癌のRLN転移症例を報告する。
患者は36歳の女性,頭痛,鼻閉,嚥下困難感があり当病院を受診した。某病院で舌癌のために放射線治療と手術を受けたが,ルビエールリンパ節転移のため化学療法と緩和療法を依頼された。
TPF療法(CDDP+5-FU+DTX)を行ったが癌は進行した。局所進行頭頸部扁平上皮癌において,BRTは放射線単独療法と比較して生存に寄与することが示された。そのためBRTを行ったところ完全奏効(complete response:CR)となった。治療後4年以上再発を認めていない。