日本口腔腫瘍学会誌
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原著
舌扁平上皮癌における新TNM分類(UICC:第8版)の実用性
吉田 祥子岸本 晃治村瀬 友里香伊原木 聰一郎吉岡 徳枝奥井 達雄長塚 仁佐々木 朗
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2018 年 30 巻 4 号 p. 151-157

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抄録

UICCのTNM分類は,口腔癌の進行度評価の基準にされているが,2016年に第8版へ改訂され,T分類では浸潤の深さ(Depth of Invasion:DOI)が,N分類では被膜外進展(Extra Nodal Extension:ENE)が導入された。本研究では,当科で手術を行った舌扁平上皮癌症例107例において,第7版と第8版TNM分類により評価を行い,TNM分類改訂と頸部リンパ節後発転移(以下後発転移)および生存率との関連について検討を行った。
TNM分類改訂により,17例(15.9%)にcTの変更を,6例(5.6%)にpTの変更を認めた。後発転移数・後発転移率は,cT1とpT1では低下し,cT2とpT2では増加した。また,第7版でcT4a,pT4aの2例が,第8版ではcT3,pT3に変更されたため,第8版は第7版と比較してcT3,pT3の生存率が低下した。第7版でpN2bの3例が,第8版ではpN3bに分類され,3例とも経過不良であった。
当科の舌扁平上皮癌症例におけるTNM分類の第7版から第8版への見直しは,主にStage上昇につながった。そして,第8版TNM分類は,舌扁平上皮癌の進行度をより的確に後発転移と生存率へ反映させるため,実用的であると考えられた。

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© 2018 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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