日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
両側浅側頭動脈よりの超選択的動注化学放射線療法が奏効した硬口蓋癌の1例
安井 昭夫北島 正一朗武井 新吾鶯塚 晃士
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2018 年 30 巻 4 号 p. 167-172

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抄録
今回われわれは硬口蓋癌に対して,両側浅側頭動脈よりの超選択的動注化学放射線併用療法が奏功した1例を経験したので報告する。
患者は63歳女性で左側口蓋歯肉の腫瘤を主訴に受診した。腫瘤は左側口蓋歯肉から正中部に伸展しており,大きさは35×30mmであった。頸部リンパ節に転移は認めなかった。生検にて扁平上皮癌と病理診断された。顎口腔領域の機能および形態温存が望める動注化学放射線療法を計画した。両側浅側頭動脈より顎動脈にカテーテルを留置した。抗癌剤は左右1:1に分割投与を行い,総投与量はDOC:60mg/m2,CDDP:125mg/m2であった。放射線治療は総線量50Gy照射した。造血器障害が認められたため,5週間で治療終了とした。治療後6年が経過するが,再発・転移は認められていない。
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© 2018 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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