日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
肝細胞癌の下顎骨転移に対し根治的切除を行いQOLの維持・改善が得られた1例
小山 吉人上原 忍鎌田 孝広山田 慎一栗田 浩
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2018 年 30 巻 4 号 p. 173-178

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抄録
肝細胞癌の下顎骨転移を認めた報告例は少ない。今回,われわれは,肝細胞癌の下顎骨転移に対し,QOL維持・改善のため積極的な切除・再建術を行った症例を経験したので報告する。80歳男性が右側下顎臼歯部の腫脹を主訴に当科を受診した。既往として肝細胞癌,膀胱癌を認めた。右側下顎大臼歯部に33×24mm大で表面粘膜正常,弾性軟の腫瘤を認めた。単純CTにて同部に辺縁不整な透過像を認めた。生検にて肝細胞癌の転移と診断された。原発のHCCは担癌状態であったが,下顎骨以外の転移巣が明らかではなかったこと,および,生検後に腫瘍の急激な増大を認め疼痛や食事困難が出現したことから,口腔機能およびQOLの維持・改善目的に右側肩甲舌骨筋上頸部郭清術,右側下顎悪性腫瘍切除術,大胸筋皮弁および下顎骨再建用プレートによる再建を行った。患者は術後20か月生存したが,下顎骨に再発所見なく整容的および機能的にも問題は生じていなかった。
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© 2018 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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