2019 年 31 巻 4 号 p. 203-206
粘液脂肪腫は極めて稀な脂肪腫の亜型であり,本邦でこれまで報告された口腔内の発生例はわずか4例しかない。われわれは64歳男性の舌縁部に発生した粘液脂肪腫の1例を経験したので報告する。患者は舌の腫脹を主訴に紹介初診された。T1,T2強調像にて11×9×11mmの高信号を認めた。全身麻酔下に舌腫瘍摘出術を行った。病理組織学的所見は,成熟した大小不同の脂肪細胞の増殖からなり,間質に粘液腫様変化を認めたため,舌粘液脂肪腫と診断した。術後1年が経過するが再発は認めていない。