日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
長期経過を辿って潜在性頸部リンパ節転移が顕在化した舌扁平上皮癌の3例
福田 修平黒嶋 雄志富岡 寛文及川 悠原田 浩之
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2019 年 31 巻 4 号 p. 197-202

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抄録
口腔癌において,潜在性頸部リンパ節転移の顕在化は初回治療後から2年以内が大部分であり,2年以上の経過を辿って顕在化することはまれである。今回,2年以上経過した後,頸部リンパ節転移が顕在化した3例を報告する。症例1は38歳,女性。左側舌癌に対して組織内照射が施行された後,2年6か月で頸部リンパ節転移が顕在化した。症例2は47歳,女性。左側舌癌に対して舌部分切除術と組織内照射が施行された後,5年11か月で頸部リンパ節転移が顕在化した。症例3は57歳,男性。右側舌癌に対して舌部分切除術が施行された後,5年11か月で頸部リンパ節転移が顕在化した。潜在性頸部リンパ節転移の顕在化時期を予測することは現状では不可能である。頸部リンパ節転移の発見を遅らせないためには,長期にわたる注意深い経過観察と頸部リンパ節転移に関する患者教育が必要と考えられた。
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© 2019 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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