抄録
今回われわれは,上下顎の歯肉に大きな腫瘤形成を伴う色素性母斑の1例を経験したので報告する。
〈症例〉43歳男性,幼少時より左側上下顎歯肉の黒色斑,また20代から同部の腫瘤形成を認めていた。2005年9月,当センター紹介受診となった。2度の受診自己中断の後に,徐々に腫瘤の増大を自覚し,2016年4月,再度受診となった。左側上下顎歯肉に表面平滑,凸凹不整,弾性硬の黒色斑を伴う分葉状腫瘤形成を認めた。パノラマX線写真,CTにて異常な骨吸収像は認めなかった。確定診断をつけるため生検を行い,病理組織診断は真皮内型色素性母斑であった。患者が治療を希望せず,無加療で現在も経過観察中である。