抄録
本邦では,70歳以上の高齢者の60%が年間に新たに癌と診断されている。老化の過程は一般に一様でなく,高齢者の評価を年齢だけに基づいて行うことは困難である。従って,高齢口腔癌患者における治療方針の決定に寄与する治療アウトカムや全身評価ツールの確立が必要である。そこで,自立期間とG8スクリーニングツールの高齢口腔癌患者における臨床的意義について検討した。標準治療を施行した進行癌症例群においては,75~79歳の年齢階級を除いて自立期間は1年未満であった。高齢者においては,自立期間は生存率と同様に,予後指標の一つとなり得る可能性が示唆された。また,G8スコアが低値の症例群では自立期間は有意に不良であった。高齢口腔癌患者におけるG8スコアの臨床的意義が示され,ECOG-PSと併用することで,予後評価に有用であることが示唆された。