2021 年 33 巻 4 号 p. 195-202
舌癌の頸部・遠隔転移症例に対してニボルマブが完全奏効を示し,2年間投与後に定期経過観察に移行した症例を経験したので,その概要を報告する。
患者は70歳の男性で,T3N2bM0の進行舌扁平上皮癌の診断下,再建を含む手術を施行した。術後に頸部再発が確認された。そのため,シスプラチン併用化学放射線同時併用療法を完遂したが,PET/CTにて頸部・傍気管LN転移を確認したため,ニボルマブを適応した。本薬剤により腫瘍は緩徐に縮小し,投与後1年の効果判定では完全奏効と診断された。本薬剤を2年間投与し,終了とした。その後1年4か月,明らかな再発転移は認められない。
ニボルマブは高価な薬剤であるが,投与期間の基準がない。本薬剤はより慎重な治療効果判定を担保しながら,投与期間に関する規定作りが待たれる。