抄録
口腔がんは,がん全体の1%,人口10万人あたり6人未満の“希少がん”である。2014年,厚生労働省等は「がん研究10か年戦略」を策定し,研究が進みにくい“希少がん”として,口腔がんを重点研究領域として明記している。個々の施設で質の高い臨床研究を行うには限界があるため,多機関共同研究の重要性が高まっている。日本口腔腫瘍学会でも共同研究委員会が設置され,様々な研究が行われており,本総説ではそのひとつである,「cN0舌癌に対する予防的頸部郭清術の前向き観察研究(略称:END-TC)」について,研究に至った背景と研究プロトコールの概要について述べる。本研究は多機関共同前向き観察研究である。臨床的にリンパ節転移陰性の口腔舌扁平上皮癌に対して,原発巣の切除と同時に予防的頸部郭清術を行うかどうかの選択は,施設の方針と患者の希望に基づいて行う。本研究のプライマリーエンドポイントは3年全生存期間で,セカンダリーエンドポイントは,3年疾患特異的生存期間,3年無再発生存期間,および患者のQoLへの影響である。QoLへの影響は,Functional Assessment of Cancer Therapy-Head and Neck (Version 4;FACT-H&N)およびDisabilities of the Arm, Shoulder, and Hand (DASH)質問票を用いて評価する。選択バイアスを減らすために交絡因子の調整を行う。本研究の結果は,わが国におけるcN0 舌扁平上皮癌に対する予防的頸部郭清術の有効性について,患者のQoLの観点から新たなアウトカム志向の知見が得られる可能性がある。