抄録
日本をはじめとした先進国では少子高齢化の進行に伴い,口腔がん罹患者は年々増加している。高齢者の特徴として,身体機能の低下,認知機能の低下,併存疾患の存在,生活機能の低下,経済的問題,社会・家族関係の変化があげられるが,個人差が大きく,暦齢だけで判断することは困難である。高齢がん患者に対しては,これらの特徴を理解して治療を行う必要があるが,治療の適応基準や予後を示した適切なガイドラインはなく,医療現場ごとに経験則で診療が行われていた。これを踏まえ,国内外で,高齢がん患者の特徴を反映した診療ガイドラインが作られるようになってきた。日本口腔腫瘍学会でも,高齢者口腔がん診療ガイドライン委員会が組織され,患者・家族,医療関係者,行政関係者に有用なガイドラインの作成が行われている。