日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
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36 巻, 3 号
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総説
  • 青木 隆幸, 上田 倫弘, 山城 正司, 柳本 惣市, 寺尾 保信, 三浦 雅彦, 本間 義崇, 中山 秀樹, 八木原 一博, 大廣 洋一, ...
    2024 年36 巻3 号 p. 53-61
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/23
    ジャーナル フリー
    日本をはじめとした先進国では少子高齢化の進行に伴い,口腔がん罹患者は年々増加している。高齢者の特徴として,身体機能の低下,認知機能の低下,併存疾患の存在,生活機能の低下,経済的問題,社会・家族関係の変化があげられるが,個人差が大きく,暦齢だけで判断することは困難である。高齢がん患者に対しては,これらの特徴を理解して治療を行う必要があるが,治療の適応基準や予後を示した適切なガイドラインはなく,医療現場ごとに経験則で診療が行われていた。これを踏まえ,国内外で,高齢がん患者の特徴を反映した診療ガイドラインが作られるようになってきた。日本口腔腫瘍学会でも,高齢者口腔がん診療ガイドライン委員会が組織され,患者・家族,医療関係者,行政関係者に有用なガイドラインの作成が行われている。
原著
  • 相磯 友里, 石川 早紀, 巽 綾香, 田中 詩織, 関川 翔一, 鈴木 大貴, 片倉 朗, 野村 武史
    2024 年36 巻3 号 p. 63-72
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/23
    ジャーナル フリー
    口腔癌患者の終末期は,局所病変による経口摂取の制限,頸部病変による気道の管理,腫瘍進展に伴う創部の露出など様々な管理を必要とする。今回,口腔癌終末期患者の看取り前後の状態,環境に関する現状の把握を目的に後方視的調査を行った。対象は過去12年間に東京歯科大学口腔がんセンターを受診し,終末期の転帰となり,当院,自宅または他施設で看取りを行った口腔癌患者を対象とした。
    当該期間において終末期に移行した患者は133例で,原発巣は下顎歯肉が最も多く51.9%,死因は局所再発が最も多く35.3%だった。自宅もしくは他施設に転院を希望した患者のうち,希望した場所で看取りができた患者の割合は全体の69.4%だった。終末期医療のうち,呼吸管理が必要な患者の多くは当院で看取りを行っていた。
    患者・家族が希望する看取りの環境を調整するためには,呼吸管理および栄養管理の調整が重要であると考えられた。当院では2019年より,患者や家族のQOLの向上を目的とし,希望に沿った場所で,よりよい最期を迎えられるよう,他職種と連携し共有意思決定の支援を行っている。厚生労働省は患者の価値観,人生の目標を理解し共有しあうプロセスであるアドバンスケアプランニング(ACP)を推進しており,今後はACPに基づいた積極的な自己決定システムを構築することで,多くの口腔癌患者がより質の高い終末期を迎えることができると考える。
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