日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
下顎歯肉への転移を契機に診断に至った膵癌の1例
須田 大亮船山 昭典新美 奏恵佐久間 英伸齋藤 大輔林 孝文丸山 智田沼 順一小林 正治
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2024 年 36 巻 4 号 p. 89-95

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抄録
口腔領域の転移性腫瘍は比較的まれであり,なかでも膵癌の口腔転移は極めて少ない。今回われわれは下顎歯肉への転移性腫瘍を契機に膵癌の診断に至った1例を経験したので報告する。患者は57歳女性。既往歴として糖尿病と腰椎椎間板ヘルニアがあった。左側下顎第二大臼歯遠心の歯肉腫脹と出血を自覚し近医歯科で消炎処置を受けたが,1か月経過しても改善しなかったため,消炎と智歯抜歯の依頼で当科を紹介受診した。左側下顎第二大臼歯遠心歯肉に10×5mmの隆起性の腫瘤を認め,造影CTでは造影性を認めた。細胞診の結果はLow grade squamous intraepithelial lesion(LSIL)で,生検ではAdenocarcinomaの診断であった。免疫組織化学ではCK7,CK20,MUC1が陽性,CDX2,PAX8,MUC2が陰性で,膵癌,胃癌,大腸癌等の転移性腫瘍が疑われたためPET/CTによる全身検索を行った。膵尾部のFDG集積を伴う腫瘤と腹膜播種病変,両肺と肝臓の多発結節,脊椎や骨盤に多発するFDG集積を認め,診断は膵癌ならびに多発転移疑いであった。当院消化器内科に対診し膵臓の超音波内視鏡下穿刺吸引法EUS-FNAによりAdenocarcinomaの確定診が得られた。ゲムシタビン・ナブパクリタキセル併用療法を行ったがその後,BSCの方針となり,初診の131日後に死亡した。
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© 2024 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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