抄録
ホウ素中性子捕捉療法(Boron neutron capture therapy. 以下BNCT)は中性子とホウ素との核反応によって生じる粒子線を用いて,腫瘍細胞を選択的に破壊する治療法である。今回われわれは,再発舌癌に対してBNCTを含む集学的治療を行い,完全奏効を得た症例を経験したので報告する。患者は52歳,女性で左側舌癌(cT3N1M0)に対して,両側頸部郭清術,舌亜全摘術,下顎区域切除術,再建用チタンプレートおよび大胸筋皮弁による再建術を施行した。術後4か月で舌根部から左側頸部舌骨周囲かけて再発を認めたため,化学放射線療法を施行した。術後6か月で肺転移を認め,ペムブロリズマブ単剤療法,パクリタキセル,セツキシマブ療法を施行し,肺病変は消失したが,局所再発病変に有意な変化は認められなかった。ペムブロリズマブ,カルボプラチン,5-FU併用療法に変更したが,再発病変は増大した。南東北BNCT研究センターでBNCTを施行し,治療後3か月で再発病変は消失した。2年経過しているが,再発・転移所見は認めず,経過良好である。