日本口腔腫瘍学会誌
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口蓋に発生したNecrotizing sialometaplasiaの1例と文献的考察
岡沢 恵子星名 秀行大橋 靖鈴木 誠福島 祥紘石木 哲夫
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キーワード: 口蓋, 唾液腺
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1989 年 1 巻 2 号 p. 260-269

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抄録
Necrotizing sialometaplasiaは, 唾液腺の良性, 炎症性の疾患で, 腺組織の広範な壊死と扁平上皮化生を特徴とする。臨床的, 病理組織学的に扁平上皮癌や粘表皮癌に類似した所見を呈するため, 時に悪性腫瘍と誤診されることもある。しかし, 本症は数ケ月以内に自然治癒するとされており, 誤診による過剰な治療を防ぐために, 慎重な診断が必要である。
症例: 21歳, 女性。主訴: 口蓋左側の腫脹と疼痛。口腔内診査にて口蓋左側に中央に潰瘍を伴った15×9mmの腫脹を認め, 臨床的に口蓋腺の炎症性疾患もしくは腫瘍と診断した。細胞診では, 異型細胞が認められ, 生検を行った。病理組織学的にNecrotizing sialometaplasiaの所見であり, 以後, 特に治療を行わずに治癒が確認された。
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