日本口腔腫瘍学会誌
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口腔粘膜癌T1症例の臨床および組織学的検討
―浸潤癌周辺の上皮性異形成の様態を中心として―
山本 哲也米田 和典植田 栄作尾崎 登喜雄
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1998 年 10 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

口腔粘膜扁平上皮癌T1症例35例を対象に臨床・病理組織学的検討を行い, 以下の結果を得た。1) 外科的安全域が1cm以上の症例では1例も再発はみられなかったのに対し, 1cm未満では25例中10例に再発が認められた。2) 浸潤癌の周辺の上皮における異形成の様態を3つのタイプに分類した。癌に隣接したごく一部の上皮に軽度の異形成が認められたタイプ1に比べ, 広範囲に高度な異形成が認められたタイプIIや, 多中心性に浸潤癌および異形成上皮が認められたタイプIIIでは局所再発が高率の傾向にあった。3) リンパ節転移は, 1例を除き, 他は後発転移であり, そのうちの3例は浸潤様式が3型であった。これらの結果よりT1症例では, 1cm以上の安全域で切除すること, 後発リンパ節転移が多く, 特に浸潤様式が3型のものでは後発転移に気をつけることが大切で, さらには多中心性の異形成上皮の存在は, 多中心性癌の発生を示唆しているように思われた。

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