日本口腔腫瘍学会誌
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口腔癌の頸部リンパ節転移巣の超音波診断と原発巣の病理組織学的診断との関連について
田中 信幸山口 晃中野 敏昭平塚 博義小浜 源郁
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1998 年 10 巻 4 号 p. 297-303

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抄録
当科では, 臨床病理学的所見を用いた多変量解析から転移リンパ節の有無に対する判別式を作り, これから得られた結果を考慮して頸部郭清術を施行している。今回, 舌, 口底, 下顎歯肉原発の扁平上皮癌症例245例中, 頸部郭清術を施行した71症例を対象に術前の頸部転移巣に対する超音波診断と原発巣の病理組織学的悪性度との関連について検討した。超音波診断でNegativeと診断されたが, 臨床病理学的所見から転移が疑われた23頸部中11頸部に, Suspectedと診断された44頸部中24頸部に病理組織学的に転移巣がみられ, それらの原発巣の病理組織学的悪性度は高悪性であった。超音波診断でPositiveと診断された20頸部中18頸部に転移巣がみられた。以上の結果より, 口腔扁平上皮癌の頸部リンパ節転移の診断は超音波検査と原発巣の臨床病理組織学所見, 特に悪性度を考慮に入れてなされるべきであることが示唆された。
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