抄録
上顎歯肉癌や硬口蓋癌のT分類においてUICC分類 (1987年) を単純に適用すると, 下顎歯肉癌において問題になっているのと同様に解剖学的特性から殆どの症例がT4となり, 病期分類の意味をもたなくなる傾向がみられる。そこでとくにT4症例の分類法について1) UICC分類 (1987年) , 2) 頭頸部癌取り扱い規約による分類 (1991年) のほか, 3) 洞底分類とよぶ新しい方法の3種類の方法を用いて, 各基準の妥当性について検討をおこなった。その結果, 洞底分類は症例数の分布, 予後との相関および平易性などの点において他の2つの分類法に比べ, より妥当な分類法と思われた。