抄録
本研究の目的は口腔癌の術後構音機能評価の標準化である。日本語単音節発語明瞭度, 会話明瞭度検査を113名の口腔癌患者についておこない, 74名に質問票を用いた患者の自己評価を行った。これら3つは比較的簡便な方法であり会話機能評価によく用いられてきた。
1.単音節明瞭度は評価音節数によって異なっていた。中等度と高度障害例において25音節明瞭度は100音節明瞭度に比べかなり低い値を示した。一方67音節明瞭度は障害の程度に関わらず100音節よりやや高かった。
2.軽度障害例において単音節明瞭度と会話明瞭度の相関は弱く, より細やかな尺度を用いた評価法が望まれる。
3.患者の自己評価 (自覚的評価) は会話明瞭度 (客観的評価) と一致せず, 患者自身は会話機能を低く評価する傾向にあった。